新国立競技場の「自転車ヘルメット」デザインで揺れた日本

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新国立競技場の「自転車ヘルメット」デザインで揺れた日本

やまもと ふじお
山本 富士雄 (昭34・理工)         2015.7.24.掲載


2020年東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設をめぐり、 大きなアーチを備えたザハ・ハディド氏の現行のデザインが当初予想よりもはるかに費用がかかることなどから、建設を進めるべきか議論が続き、過日安倍総理がすべて白紙撤回してやり直すことを表明した。
 イラク出身のハディド氏の超モダンなデザインは国際コンペで選ばれた。だが、従来の競技場に比べ非常に規模が大きく建築費もかかるものだったため、当初から厳しい批判があり、「自転車用のヘルメット」のようなデザインだと揶揄(やゆ)されてきた。また旧国立競技場の解体の遅れや、資材費と建設費の高騰といった問題も発生した。
 プリツカー賞受賞者で東京体育館などの設計で知られる槇文彦氏らのグループは、ハディド案から特徴的なアーチを取り去り、建設費を削減する案を提唱。最大の問題はコストと建設期間の長さだとの見方を示した。また、テンプル大学のジェフリー・キングストン教授は、旧国立競技場を改修して使うべきだと主張。
「これほど大きな競技場が必要となるイベントなどほとんどない」と指摘した。
 私は当初から一建築家として批判的な発言を続けてきたが、この決定を歓迎する。「デザインビルド=設計施工」ではなく、できるだけ建築家がイニシャチヴを取り建築家と大手ゼネコンのコラボチームのコンペでやってほしい。
この問題の責任問題をいい加減にせず、責任体制をしっかり確立させて、アスリートが使いやすく、観衆の避難誘導の安全安心を確保した後世に残る日本人の設計になる名建築ができることを期待したい。